見上げた一面に映るのは
一点の涼しさも見つからない灰色の雲。
明るい世界の演出をしたくても
まるでおびえ続ける子供のように
口を硬く閉ざしたまま、変化を拒む。

はばたく音を聞きつけて騒ぎ出す緑の一帯は
僕の到着を待ち望んではいなかった。
どこかですべてを開放させることが
すこしだけ期待したいつかの楽しみだったのに
吹き荒れる風は吹き止み、あたりは静まり返る。
音も立てずに立ちすくむ僕に
すべての責任を押し付けるかのようにして。

目の高さまでにしか存在しない、
折り重なる自然の隙間を埋める緑に
何を見出せばいいのだろうか。
暗いトーンに侵食された目の前の風景は
僕の心の闇を照らすほどの明るさを
持ち合わせてはいないようだから。

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By GloomyWind 2003/4/7
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